自然が生み出す日本の伝統色
柿渋とは
青い未熟な柿(渋柿)をつぶし、圧搾してできた汁を発酵させたものを「柿渋」と言います。
防水・防腐剤としても古くは平安末期から塗料として使用されていたといわれます。一般庶民の塗料として、桶や樽、団扇、家の柱などを長持ちさせるため、また漆の代用(下地など)としても使用されていました。産業としては、酒作りの用具(酒袋など)・漁網・伊勢型紙・金箔の打紙・番傘・一閑張など強度を増す目的に使用されてきました。民間薬としても、中風の予防、血圧を下げる、やけどに効くなど言い伝えらえています。
現在の用途としては、清酒の清澄剤、化粧品、消臭剤などが主です。
最近になり天然の素晴らしさが見直され、柿渋染めの染料、建築材や家具の染料、石鹸や健康食品、消毒薬として再び脚光を浴びてきています。
ゆっくり時間をかけて天日干し
柿渋染めは一度では浅い色味になるので、染めては天日干しを繰り返しながら、深みのあるオレンジ色になるまで何度も何度もこの手作業を繰り返します。天候によって左右される染色法なので、手間暇をかけて粘り強く色を育てます。
自然由来の効果
古の人々の伝統の知恵を施す柿渋染めは、青い柿から抽出されたタンニンに含まれる防菌、防腐などの効果があると言われています。
味わい深い育てる色
完成した柿渋染めは、一点一点に味のある表情があります。ジーンズのように使うほどに経年変化が味わえ、愛着のある自分だけの色を育てながら楽しむ事ができます。そして、生地の強度が増すことにより、長く使うことができます。また、新たに上染めすることにより、さらに長く使うことができます。